「願い」

谷川俊太郎 「願い」


いっしょにふるえて下さい
私が熱でふるえているとき
私の熱を数字に変えたりしないで
私の汗びっしょりの肌に
あなたのひんやりと乾いた肌を下さい

分かろうとしないで下さい
私がうわごとを言いつづけるとき
意味なんか探さないで
夜っぴて私のそばにいて下さい
たとえ私があなたを突きとばしても

私の痛みは私だけのもの
あなたにわけてあげることはできません
全世界が一本の鋭い錐でしかないとき
せめて目をつむり耐えて下さい
あなたも私の敵であるということに

あなたをまるごと私に下さい
頭だけではいやです心だけでも
あなたの背中に私を負って
手さぐりでさまよってほしいのです
よみのくにの泉のほとりを


先日お邪魔した「第2宅老所よりあい」の村瀬孝生さんのお気に入りの詩です。
村瀬さんはこの詩のことを、「すべてが見透かされるほどの高みと、地を這うかのようなリアルさと、どんなに目をこらしてみても見通せない深みが潜んでいる」と書いておられました。



         
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by ikunosange | 2009-07-24 18:17 | 日々思うこと
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