現代リーダー論

現代最高のオーケストラ、ベルリン・フィルのブラームスの交響曲の新しいCDが出ましたので早速買いました。指揮者は音楽監督のサイモン・ラトル。落語家でいえば、新作ばかりする真打がやっと古典を取り上げてくれた、といった感じです。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3622155

さて演奏ですが、うーん、と唸りました。指揮者の個性、というよりはオーケストラの個性が前面に出た演奏です。ラトルという指揮者の方法論の個性といえばそうなのかもしれませんが。

これまでの音楽監督、たとえばフルトヴェングラーは会社でいうと伝説のカリスマ創業者。
カラヤンはビジネスライクでスマートな経営方針の独裁者。ただし晩年は社員の猛反発で引退。アバドは経営の民主化に努めたが、リーダーシップを疑われ、ストレスと過労で辞任。
さてラトルといえば?

ベルリン・フィルの歴代音楽監督の演奏方針は、そのまま時代の空気を表していて面白いです。このオーケストラは奏者ひとりずつがソリスト級のスターぞろい。荒馬だらけのこのオケを自分色に染められるほどのカリスマはラトルにはないし、必要ともされていない。ならば奏者ひとりずつの技巧を最高度に発揮できる演奏にすればよい、と考えたのかもしれません。

というわけでこのブラームス、ある意味凄い演奏です。最近流行っているパズル分析系の演奏とは違い、奏者の自主性に任せた結果、お互いの音をあまり聴き合うことのない、やかましい(失礼)演奏です。映像で見るとラトルは強制せず、むしろ煽るような指揮をしています。
ライブだからかもしれません。これがスタジオ録音だったらまた結果は違ったかも。

もしカラヤンとチェリビダッケが生きていて、客席でこの演奏を聴いたらどんな感想を述べたか訊いてみたいものです。
カラヤン「フレーズはもっとレガートでつながないと美しくないぞ」
チェリビダッケ「これではまるで水田に落ちた戦車を引き上げる音だ」

なんて。
[PR]
by ikunosange | 2009-08-06 09:41 | 日々思うこと
<< 「認知」が入る 自販機萌え >>