個室化と、昔の家

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以前に見学させていただいた博多の「宅老所よりあい」で驚いたこと。
それは入居者の部屋と、みんなが集う居間の位置関係が絶妙なことでした。

たとえば世間一般的なグループホーム施設や小規模多機能施設だと、宿泊される人数分の個室を配置するため、廊下沿いに部屋が並んで、それに居間がくっついて、さながら学生アパートのような建物になってしまっています。
ところが「よりあい」では、個室と居間との境目が障子や襖を使ってわざとあいまいになっているため、広げれば居間と一体的に使うことができるのです。特に新築で建てた「第2よりあい」はその意図がわかりやすく、廊下とおぼしき空間が少ないので、まるで戦前に建てられた屋敷のような「田の字」配置になっています。

ここ10数年くらい前から、日本の高齢者施設は個室化を推し進めてきました。たしかにプライバシーの問題やその人らしさを大切にしたケアを目指すとそういう方向性は正しいのかもしれません。
しかし現場で実際に高齢者(とくに認知症の方)と毎日接していると、「ひとりで過ごす」ということが困難になってしまう、ということに直面します。
たとえば普段は自宅で一人暮らしをしていたり、グループホームの個室で過ごしているけれど、夜になると「不安になって寝れない」という人はとても多いのです。これまでに何度も「誰かか横にいて寝てくれるだけでいいんだけど・・・」という訴えを聴きました。

将来のたとえば団塊の世代が高齢者になったとしたらまた違うのかもしれません。生活習慣も変わっているし、もっとその人らしさ、個室ということにこだわるかもしれない。
でも、やっぱり「一人は淋しい」という気持は変わらないと思います。

施設を実際に建てるような人は、今の自分の価値観で建物をプランニングしてしまうと思うのですが、「よりあい」はそうではありませんでした。


全国的に有名で見学者の絶えない「宅老所よりあい」。
本当に奥が深いです。
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by ikunosange | 2009-10-29 12:41 | 日々思うこと
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